幾何学ドッグ・迷犬ウッホ・迷創Cat

同人サークル 幾何学ドッグ・迷創CAT・迷犬ウッホの共同ブログ

Category: スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Category: イベント情報

Comment (0)  Trackback (0)

魔理沙のいない世界 FOR Novel(サンプル)

11月4日 頒布いたします「魔理沙のいない世界 FOR NOVEL」のサンプルです。

 11月4日 仙台コミ(夢メッセみやぎ)にて開催されます、
『東方幻仙郷』スペース:ウ16に参加させていただきます。

本編全8章から、プロローグ〜第2章までのサンプルになっております。
是非お試しください!

本文は「continue」からどうぞ


プロローグ
 それはただの夢だった。
 大きな神社で宴会をしているという、至って普通の夢。
 寒空の下でこそあるが、皆酒を飲み和気藹々と盛り上がっている最中。
 そんな楽しげな空間で自分一人なぜか浮いているような気がした。
 手元のグラスの中をのぞくと、不安げな顔を後ろに大きな月が映り込んでいる。
 周りの華やかな雰囲気に増長されるように心の中での不安が大きくなっていく。
 何が不安なのか、それがわからずにいた。
 目線を動かすと傍らには一体の人形が置かれていた。
 それが視界に入った途端、不安に焦りが混じった。
 水面に投げ込んだ小石が作る波紋のようにゆらゆらと焦りが広がって行く。
 そんな妙な感覚が心を支配し、自分のすべてになる。
 人形を作らなければならない。
 何故人形を作らなければいけないのか、その答えは見つからない。
 ただ、作らなければいけないという焦りだけが募っていく。
 実在する誰かによく似た人形。
 それが静かに自分の隣で横たわっている。
 その人物はよく知っている。
 負けず嫌いで無茶ばかりしているが、実は妙に繊細で努力家な一人の人間。
 彼女の姿が見当たらなかった。
 宴会と聞いて彼女が参加しないはずがなかった。
 妙な胸騒ぎを覚えて、周囲に質問を投げかけた。
「魔理沙はどこ?」
 我ながらストレートな質問だと思うーーひどい胸騒ぎに余裕を失っている。
 質問を受け付けた霊夢は、一瞬目を丸くしてすぐに目を伏せた。
「魔理沙はーー」
 耳に入った言葉が素通りした。
 何が起こったのかわからない。
 言葉を理解すべき思考回路が凍結して目の前が真っ暗になった。
 本当に?
 そんな言葉と一緒にまったりと意識が溶けて消えた。


「夢の続き」
 季節はすっかり冬。
 痛みを覚えるような日差しでアリス・マーガトロイドは目を覚ました。
 嫌な夢を見たような気がする。
 何となく。しこりのような不安だけが今も残っている。
 予知夢の一つでもありそうだが、全くといっていいほど思い当たる節はなかった。
 アリスはこんな季節なのに大汗をかいてしまった体にがっかりしながら上半身を起こした。
 魔法使いであるアリスだが、体の機能はほとんど人間に近い。
 外の世界から隔離された幻想郷という世界では、むしろ人間以外の方が多数だ。
 外の世界で消えゆく妖怪たちを集めて隔離した世界であるから当然のようだが、妖怪だけにしてしまうことはできない。
 人間の観測者なしでは妖怪は妖怪として生きていけないため、村一つ分の人間がこの世界でひっそりと生活していた。
 アリスは大きなため息をついてベッドから起き上がった。
 魔法使いの場合、本来人間とは違い食べ物と睡眠が不要になるはずだが、アリスはそれでもあえて人間らしい生活を続けていた。
 人間らしい生活をする意味はないが、それはアリスの趣味と言ったところだろう。
 素足で冷たい床を歩きながらアリスは研究の途中だった事を思い出す。
 研究そっちのけで眠ってしまったから、妙に頭がさえていて変な夢を見たのだろうとアリスは解釈した。
 ベッドの脇、カーテンを開けるとすでに高くなった太陽がさんさんと輝きを放っていた。
「まだ降らなかったのね」
 天気は快晴。
 しかし、いつ雪が降り出してもおかしくない季節だけに、肌を刺すように寒かった。
 研究途中の人形のパーツやら書きかけのメモなどであふれかえるひどい有様のテーブルから魔法書を取り出して着替えた上着のベストに通した。
 鏡できれいな薄金色の髪を直すと、棚から状態のよい人形を三体ばかり取り出してアリスは家を出た。
 外は相変わらず寒い。
 寒いだけで魔法使いだから死ぬことはないが、コートでも羽織ってくればよかったと重いながら地面を蹴り、空へ飛び上がった。
 まもなく幻想郷は雪に閉ざされる時期だろう。
 一度降り出してしまえば当分の間地面を見ることはかなわない。
 住まいのある魔法の森を抜けだし、一段と寒々しい大きな湖を越えた。
 雪が降り出せば湖は氷、冬の妖精たちの格好の遊び場となるだろう。
 現に氷の妖精がなにやら楽しそうに氷をばらまいているが、あまりに寒々しい光景に、アリスは関わることなく飛び去っていく。
 こんな寒空の下でさえ、穏やかに居眠りをする門番に、アリスは苦笑いをして目的の紅魔館へと踏み込んでいった。
 読んで字のごとく、真っ赤な壁面で窓の少ない西洋風の大きな館である。
 吸血鬼の主の城らしく採光の必要がないのはわかるが、それにしてもこの大きさで窓がないのは異様だった。
 吸血鬼の館というだけあり、昼間は別の妖精たちがせわしなく館の手入れを行っている。
 自由奔放な妖精の姿にアリスはなんだかまぶしさを覚えた。
 とにかく今日は今朝から、落ち着かない。
 それが相まって妙に普通の光景に惹かれてしまう。
 アリスはできるだけ館の住人と鉢合わせしないように、静かにエントランスからすぐに伸びる地下室へと続く階段を下る。
 階段を降りきった先、大きな扉を開けると広大な図書館が広がっていた。
 図書館というのも不思議な話だ。
 パチュリー・ノーレッジの個人的な本を集めた本棚空間であるが、その見た目はもはや図書館である。
 幻想郷にこれほどの本が存在しているということ自体驚きでもある。 
 地下空間を魔力で無理矢理拡張したこうだなスペースには本棚が人一人通れるだけのスペースを残して詰め込まれているのである。
 アリスはいつものように、その光景に小さなため息をついて先へ進んだ。
「何しに来たの」
 いつのも言葉だ。
 アリスはそんなパチュリーの言葉に応えようとすると、違う声がそれを遮った。
「本を借りていくだけだぜ?」
 本棚の陰から現れた霧雨魔理沙がいつものように悪気もなく言う。
「相変わらずね」
「ああ。ちょっと借りるだけなのにな」
 ここは図書館という名前だけで本の貸し出し業務は行っていない。
 大きな本棚なのだから当然と言えば当然だ。
 パチュリーがあきらめたように言葉を続けた。
「必ず返しなさい」
「ああ、死んだから返すぜ」
 魔理沙が全く責任感のかけらもない声色でそう言い返すと、アリスは思わず笑った。
 いつものことだ。
 人間の魔法使いである魔理沙の寿命など種族魔法使いから見ればたいした時間ではない。
 魔法使いらしい、いつもの魔理沙のブラックジョークだった。
 アリスは人笑いして、何かが引っかかった。
 今朝の夢。
 あれはどういう意味だったのか、自分でもにもよくわからない。
「私はそろそろ帰るぜ?」
「ちょっとーー」
 歩き去ろうとする魔理沙を思わず呼び止めていた。
「どうした?」 
 不思議そうに視線を向ける魔理沙だが、言葉が思いつかない。
 引き留めるつもりなどなかったが、気がついたら声をかけていた。
 魔理沙の視線を受けて妙な不安が襲ってくる。
 これは予感だろうか。
「なんでもないわ。気をつけてね」
 考えたあげく、そんな言葉を選んでいた。
「お、おう。変なやつだな」
 魔理沙は一瞬不思議そうにするがすぐに背中を向けると、背中越しに手を振り扉に消えていった。
 アリスはその間、金縛りにでも遭ったかのようにその場から動けず背中を見つめていた。
 魔理沙が消えると、アリスは一瞬追いかけなければと思う。
 それは何故か。
 アリスにもわからない。
 焦りのような落ち着かない気持ちに困惑する。
 アリスは大きなため息と一緒に気持ちを落ち着かせると、お目当ての本を物色し始めた。

「夢」

 何かを探していた。
 いったい何を探しているのかわからない。
 景色のない世界で、アリスは無意味に何かを探し求めていた。
 何か見つけなければいけないものがある。
 しかし見つからない。
 いったい何を探しているのか、どこにあるのかそれがわからなくて泣き出しそうになった。
 ふと気がついてみると、机の上には未完成の人形が転がっている。
 いつから机がそこにあったのか、そんなことはどうでもいい。
 体以外、完成しているその人形のパーツをかき集めてみた。
 胴体さえできてしまえば、簡単に完成させることができる。
 他の人形のストックを使ってしまえばいいが、これは特別製。
 急いで完成させなければいけない。
 何のために?
 アリスは人形の部品を手に考え続けていた。

「寒い」
 アリスは目が目が覚めると同時にそうつぶやいて上半身を起こした。
 研究に全く身が入らず眠ってしまうとは、魔法使いとしてどうかのか。
 アリスはため息をついて、壁に掛けてある暦に視線を向ける。
 見れば、最後に図書館に出かけた日から三日間も経過している。
 研究を続けると、どうしても時間の感覚がおかしくなってしまうのはもはや性なのだろう。
 布団をどけてベッドから降りると、冷たい空気が肌を刺激した。
 億劫に感じるもすぐに着替え、それでも寒さがひどかったので毛布を肩にかけたまま部屋の中を移動する。
 それにしても、よくわからない夢を見る。
 夢の中の焦りなど、目を覚ましてしまえば完全に失われている辺りとてもたちの悪い悪夢だ。
 このところ立て続けに見る悪夢に、実害こそないが妙な不安だけが残されている。
 無意識のため息が白く室内を漂って散っていった。
 窓のカーテンを開けて、アリスは今朝の異様な寒さの原因をしった。
「ついに降ったのね」
 窓から見る外は真っ白。
 視界の続く限りどこまでも白く雪で覆われている。
 目測でおよそ三寸くらいは積もっているだろう。
 みているだけで寒くなってしまう。
 カーテンをしめると、暖炉へ向かい昨夜火を入れたはずのなにすっかり冷たくなってしまった薪をにらんだ。
 傍らから新たな薪をくべ、属性魔法を使って強引に火をつける。
 普通の人間ならば、まず紙など燃えやすいものを燃やしてから小枝などに火を移すところだが、それは面倒くさい。
 それならば魔法で暖をとってしまえばいいが、それをしないアリスはやはり人間くさいとパチュリーに笑われるだろう。 
 暖炉に火が付くと、アリスは一安心といった表情でテーブルに着いた。
 本来ならば研究を続けるべきだが、夢の件がどうしても気にかかってそれどころではなかった。
「心当たりなんてあるかしら」
 人形に向かってつぶやいてみるが、やはり思いつくことはない。
 それどころか、夢について思い出すだけで妙な焦燥感が襲ってくる感じがする。
 いったい何が起こっているのか、頭の中で賢明に整理した。
 夢でみた造形の人形は存在していない。
 そして、それを急いで作らなければいけないような自体もまた発生してはない。
 そもそも、急いで人形を作らないといけないような状況など存在するのだろうか。
 アリスの人形は観賞用ではない。
 もっぱら弾幕ごっこと呼ばれる幻想郷独自の決闘スタイルで戦闘をするときに用いるのが人形だ。
 最近弾幕ごっこをした覚えはないし、家の人形の予備は潤沢にある。
 つまり人形を急いで作る理由はないと言うことだ。
 ならば、何か捜し物をしていただろうか。
 アリスはテーブルの上の魔法書を見た。
 『GrimoireOfAlice』
 アリスの最も大切な魔法書は手元にある。
 これ以外のものでなくして困るようなものなど有るはずがない。
 人形なら代わりが利くし、この魔法書を除く魔法書はいつでも複製することが可能な代物だ。
 アリスは天井を見上げて考えた。
 他に何も思いつくことはない。
 何か本当に気になっているのかわからないまま、アリスはテーブルで人形の研究を再開した。
 普段から人形を使う課程で問題になることがある。
 それは、人形を長期間扱おうとすると人形自体が人形に何かを引き込んでしまう恐れがある。
 一番わかりやすいものでは幽霊だろう。
 人形にそのようなものが入り込むと厄介なため、今はある程度使った人形は解体してしまうか、弾幕ごっこ中に爆破させるなどして対応している。
 しかし、この方法では一体の人形を作り込んだりする場合に支障が出てしまうのである。
 そのための入り込む余地のない人形が作れないかと、今は研究を続けている。
「普段から魔力で満たしておけばいいのかしら?」
 試しに既存の人形に魔力を満たしてみた。
 しかし、普段から魔力を与え続けるとなるとアリス自身の負担が増えてしまう。
 すぐにあきらめた。
 ならば、長く魔力を貯めておける機能をつけてしまえばいいだろうか。
 アリスは手元の魔法書から数ページを破りとると、人形の胴体に詰め込む。
 この方法ならば魔法書のページが持つ魔力を蓄える機能が発揮されるだろう。
 完成した人形をテーブルの上に置いて魔力がどれだけ維持されるか様子を見ることにした。
 アリスは小さなあくびをしてカーテンのしまった窓の方を見た。
 外はすっかり雪で埋もれてしまっている。
 人間は外に出なくなってしまうし、妖怪の大半も冬眠してしまうだろう。
 春まではずいぶん静かになることだろう。
 そんなことを考えていると、不意にドアをノックする音が響いた。
 魔法の森までやってくることのできる人物は多くない。 
 アリスはドアの前までいって鍵を開けた。
 初めは魔理沙がやってきたのかと思ったが、どうやら予想が外れた。
 見れば天狗の射命丸文がたたずんでいる。
 天狗といえば新聞配達だろう。
 仲間内で新聞を競っているらしく、その一環でよくアリスの元へと新聞を届けに来ていた。
 射命丸の肩にはかすかに雪が積もっている。
「こんな時にもご苦労様ね」
「いえいえ、新聞を届けるのは私の義務みたいなものですし。こんな時ですからね」
 射命丸はそう言うと、アリスの顔色をうかがった。
「どうしたの?」
 アリスは思わず問いかけた。
 射命丸に顔色をうかがわれるような覚えはない。
 言われた射命丸は慌てた。
「いえ。顔色があまりよくないみたいで、大丈夫かなと」
 射命丸らしくない何とも歯切れの悪い言葉。
 もっとも、妙な夢でまともに休めていないアリスは少し疲弊しているのは確かだ。
 本来眠らなくても平気な魔法使いだが、それでも休もうと思ったときに休めないのはそれ自体がストレスだろう。
 「大丈夫よ。休めば何とかなるわ」
「あんまり無理はしないでくださいよ。あんなことがあったばかりですから、私はアリスさんが一番心配ですよ」
「あんなこと?」
 射命丸が何を指してそう言うのかわからない。
 聞き返すと、射命丸はこれでもかと目を見開いて驚き、次にしまったという顔をした。
 すまなそうに俯く射命丸だが、すぐに気を取り直して空元気に言葉を返した。
「いえ、新聞を届けに来ただけですから。これで」
 そう言うと、射命丸は強引にアリスに新聞を押しつけて飛び上がった。
 妙な予感がする。
 手にした新聞を中心に体中に虫が這うような嫌な感じから逃れることができない。
 何故射命丸が慌てていたのか、何故心配されているのか。
 これは異変のたぐいでは決してないと勘が働く。
「ちょっと」
 アリスが呼び止めようとするも、射命丸は羽ばたき一つで浮かび上がると一気に飛び去る。
「無理は絶対にしないでくださいね。何かあったら絶対に相談に乗りますから」
 そんな言葉を残して、もう見えなくなってしまった。
 本当に相談を受け付けるつもりなら、どうして逃げるように飛び去ってしまったのか。 
 アリスはそんなことを頭の片隅で考えながら、妙な予感で心を乱していた。
 知らないところで何かが起こっている。
 しかも嫌な予感を伴って不安だけが募っていく。
 具体的に何が起こっているのか、それはきっと新聞を見ればわかるのだろう。
 アリスはのろのろと新聞を持ち上げ記事に視線を向けた。
「え?」
 まるで思考と体が分離したように記事の内容が頭に入ってこない。
 大きな見出しが目に入っている。
 やはり文字が頭に入ってこない。
 重要な何かが書かれているのだが、それが理解できない。
 目玉だけが無駄に何度もその大きな見出しを繰り返し確認している。
 頭上に羽音が聞こえ、誰かが話しかけてくる。
「やっぱり心配なのでもどってきたのですが……」
 そんな事はどうでもいい。
 辛うじて見出しを認識。
「魔理沙が、死んだ?」
 自分の声があまりに震えていて、アリスは驚いた。
 そしてすべてがつながったような気がする。
 夢は予感。
 魔理沙が死んだ。
 こんな時に限って当たるもの。
 手から新聞が滑り落ち、軒先の雪に刺さるようにして埋もれた。
 そんなことはどうでもよかった。
 何か大切なものをなくしてしまったという、事実が徐々に理解されてゆく。
「ちょっと!」
 アリスの体が傾いた。
 射命丸の声も崩れ落ちた衝撃も、妙に冷たい雪の感覚も、何もかも意識を失ったアリスにはどうでもいいことだった。


スポンサーサイト

Comments






Information
メロンブックス


■新刊・既刊委託中!!
about

th_banner0.gif かわふじ
th_banner0.gif 黒田
kawahujiをフォローしましょう かわふじtwitter
kawahujiをフォローしましょう 黒田twitter
■他、非常勤メンバー数名で活動中!
幾何学ドッグ ※2013/12/23. 幾何学ドッグ,迷犬ウッホ,迷創Catのブログを統合しました
mail form
works
chain-jake900.jpg ■片霧烈火*子猫奪回屋 東方アレンジ
CDのジャケットを描かせて頂きました!
Ruby Knot
■弓凛合同誌参加させて頂きました!
suten_babar_3.gif
■カードイラストを描かせて頂きました!
****
other

1234567891011121314151617181920212223242526272829303110 2017
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。