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【紅楼夢】「紅の館の事情」より「どっちがつよい?(前編)」【サンプル】

【紅楼夢サンプル】「どっちがつおい?(前編)」SS アリス・パチュリー

10月7日紅楼夢【4号館ナー14あ】頒布予定「紅の館の事情」

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 アリスは自分の背丈の倍ほどもある扉を開けた。
 外の温い空気ととは違い、気温こそ大きく変わらないが乾いた空気にアリスはほっと息を付いた。
 目の前には地下とは思えない広大な空間に本棚が並んでいる。
 静かに歩みをすすめながら周囲を観察する。
 観察といっても、視界に入るのはどこまでも続く本棚だけだった。
 紅魔館本体の大きさも幻想郷では異様だが、それ以上に謎の空間であるパチュリー・ノーレッジの図書館にはいつも驚かされる。
 おそらくメイド長の時間操作を応用した空間操作によってパチュリーによる本のための広大な空間を作り出しているのだろう。
 どれだけの本が収められているのか、知っているのはおそらく図書館の主と、使い魔だけだ。
「何しに来たの」
 どこからともなく小さな声が聞こえた。
 奇妙なことに、小さな声だがどこにいても声が聞こえるような不思議な響きを持っていた。
 おそらく風の魔法を用いて超えを遠くへ飛ばす術が図書館全体に仕込まれているのだろう。
「本を探しに。それと、世間話をしにね」
「そう」
 物静かな魔法使いは、そうそっけなく答えるとすっかり黙りこんでしまった。
 帰れと言われないということは、図書館を使ってもいいということだと解釈をしたアリスは早速本棚の物色を始めた。
 適当な本棚を見繕っては、本の背表紙を眺めていく。
 不思議なことだが、図書館の本棚は規則的に構成されていない。
 似通ったジャンルの本だとか、同じ属性の魔術書が近くに揃っている本棚をイメージしがちだが、パチュリーの本棚はそうではなかった。
 パチュリーが普段研究でつかっている図書館の真ん中辺りの丸い机を中心に使用頻度毎に本棚を構成しているイメージが近い。
 そのため、目的の本があってもなかなかそれにめぐり合うことがないのだ。
 一期一会の出会いのような本の探索に、アリスは焦ることなくゆっくりと本棚を見て回った。
 地下の図書館の異様な静寂に、自然と時間を忘れて本の探索を勧めてしまう。
 たまに目的ではないが気になる本を見つけてはそれを読んでみるのもまた楽しい、とアリスは考えている。
「何かお探しですか?」
 突然背後からかけられた声に驚いたアリスは勢いよく振り返った。
 真っ黒で小さな羽を生やした、パチュリーの使い魔がにこやかな表情で佇んでいた。
悪魔らしくいたずら好きらしい。
 わざわざ声をかけていたのも驚かせようというつもりがあったからだろう。
「捜し物はあるけれど自分で探すから大丈夫よ」
 そう答えると小悪魔は少し残念そうにつぶやいた。
「そうですか。ならば、私のお勧めの本ということでこちらをどうぞ」
 アリスは小悪魔から差し出された本をうけとった。
 外の世界の科学に関する本だ。
 科学といっても種類があるが、その中でもコンピューターというものに命令を与えるための技術書がそれだった。
「悪魔ってやっぱり隅に置けないのね」
 アリスがつぶやくようにいうと、小悪魔は笑顔をつくった。
 アリスの研究の課題である自律する人形。
 そのために必要なものは魔法だけではない。
 自律に見せるため魔法を常にかけ続ける必要がある。
 魔法自体で魔法書を構成して魔法書から自動的に魔法を供給されるようにすればいいが、問題はどのようなタイミングでどんな魔法を発動させるのかという魔法書の構成だ。
 そこでプログラミングという外の世界の命令手法にアリスは目を付けていた。
 もっとも、それもこの図書館で偶然に見つけた本から得た知識だった。
 そんな本を差し出してくる小悪魔はよくアリスの本の趣向を理解しているだろう。
 アリスは受け取った本をパラパラと捲りながら使い魔も悪くないな、と考えていた。
「暑くないですか?」
「少しね」
 アリスは顔を上げて小悪魔をみた。
 少しだけ何か悪巧みをしているのではないかと考えたが、その表情からなにも読みとることができなかった。
「パチュリー様のところへ冷たいものでもお持ちしましょうか?」
 使い魔らしい発言に、アリスはほっとしながら答えた。
「お願いしようかしら」
「わかりました。アリスさんなら紅茶でいいですよね」
 そう言い、楽しそうにさってゆく背中を見送ったアリスは、敵わないなと小さく自嘲気味に笑って小悪魔から渡された本を手にパチュリーの元へ向かった。
 広いが狭い、本棚の隙間を抜けてひらけたところに出る。
 本棚が途切れ、囲まれるようにしてできた空間の真ん中んには丸型の大きな机があった。
 パチュリーは相変わらず無表情な顔で本をながめている。
 たまに羽ペンを持っては羊皮紙に研究についての走り書きをしていた。
 一瞬だけパチュリーの視線が本から上がり、アリスを見た。
 澄んだ深い紫色の瞳が何か言いたそうに見えるがそれもつかの間、すぐに視線が外れた。
 何を言いたかったのか――結局邪魔をするなと一言告げたかっただけなのか、それとも魔理沙と一緒じゃないことを確認したのか、よくわからないままアリスはしばらく本を読むパチュリーを眺めていた。
 文字を追う瞳の動きと同期して、長い睫が揺れる。
 机の上の不安定なランプの明かりが、ゆらゆらと影を揺さぶっている。
 細く白い指が本のページを捲るのをしばらく見つめたアリスは、邪魔にならないように静かに机の椅子を引いた。
 いつもひとりで本を読んでいるのにも関わらず、何故か椅子はいつも三つ底に用意されている。
 一つはパチュリーが座り、おそらくもうひとつは小悪魔が座るときに使うのだろう。
 もう一つの椅子が何に使われるためにここにあるのか、よくわからなかった。
 もしかしたら、館の主と一緒に座るものかもしれないし、魔理沙のためのものかもしれない。
 単純に三つ最初からあり、片付けるのが面倒でおいてあるだけかもしれない。
 アリスは椅子に浅く座ると、小悪魔から受け取った本を開いて読み始めた。
 今まで何冊かこの手の本を読んだことはあるが、どれもよくわからない単語についての解説が主だ。
 アルファベッドの羅列を見ていると、外の世界のそれも魔法と他人の魔法書は大きく違わないように思えてくる。
「外の世界で魔法が廃れたなんて嘘ね」
 思わずそうつぶやいたアリスに、パチュリーが顔を上げて不思議そうにアリスを見た。
 少しアリスを観察したパチュリーだが、結局意味がわからなかったようでついに言葉で返してきた。
「どういう意味?」
「これよ」
 本のページを指さしてパチュリーに見せる。
 少しだけ身を乗り出してパチュリーがページを見た。
「なるほどね」
「魔法の記述というよりは、魔方陣に近い考えなのかしら」
「そうね。外の世界の機械は命令文を使ってうごくから、間違いじゃないと思うわ」
 椅子に深く座りなおしたパチュリーが納得したようにそういった。
 図書館の端っこの本棚にあったということは、パチュリーにとってはそれほど興味深いものではないのだろうか。
 似ているという事実を確認するためだけに、本棚に押し込められていた本をアリスは興味深く読み進めていく。
 応用できそうなところだけを中心に読み込んでいくと、本はすぐに裏表紙になった。
 そんな様子を見ていたのか、パチュリーが少し意地悪そうな声で言った。
「何か役立つことがあったかしら」
「結局のところ、山ほど場合分けした魔法を魔法書に組み込めばいいということだけよ」
「人形と一緒に図書館を持ち歩くようになるのね」
「皮肉なのか自嘲なのかよくわからないわよ」
 アリスが言うと、パチュリーはわざとらしく目を逸らした。
 普段無口なパチュリーだが、口を開けば魔女らしい皮肉も飛び出してくる。
 パチュリーとの会話はこれだから面白い、とアリスはいつも思わされている。
「結局、その膨大なソースをどれだけ簡略で高速に実行出来るかということなんだけどね」
「なら使い魔のほうが便利だわ」
「そうかも知れないけれど、必ずしも主の命令に使い魔が従うとは限らないわ」
「人形も自律したら、状況はそう大きく変わらないわ」
 アリスは腕を組んで唸った。
 たしかに、人形も自律してしまえば使い魔と大きく変わることはないだろう。
 利点としては何体もの人形が自律して活動するのだから、使役できる数が限られる使い魔よりもイニシアチブを握ることができるはずだろう。
 ならば、現状の命令で動く人形の精度を上げた方が強いのだろうか。
「どちらが強いか試してみる?」
 パチュリーが珍しく好戦的な目でアリスに言った。
 アリスは一瞬考えて、持ってきた人形を見てため息をついた。
「やめておくわ。勝ち目がないもの」
「残念ね」
 残念なんてほど遠い、たのしそうな口調で言ったパチュリーはそのまま視線を本に落とした。
 持ってきた人形は予備を含めて4体。
 この数でパチュリーの使い魔の悪魔と戦うには無理がある。
 アリスが加勢してもいいならば、話しは別だが人形だけとなるとどうしても勝ち目がない様に思えた。
 大きなため息をついて、アリスはパチュリーの研究の様子を眺めた。
 もしも、人形に悪魔クラスの魔力が引き出せるだけの力があれば、と思う。
 アリスの魔力を人形に分け与える今の戦い方ではどうしても悪魔になど敵いっこない。
 と、アリスはここで妙な事を思いついた。
 もしも、悪魔同士ならばどうなるのかと。
「一つ思いついたんだけど……」
「なにかしら」
 研究の邪魔をしているにもかかわらず、パチュリーは嫌な顔せずに答える。
「たとえ話だけれど、悪魔同士ならどうなるのかしら」
「悪魔のレベルによるわ」
「なら、レミリアとフランドールなら?」
 館の主レミリア・スカーレットとその妹フランドール・スカーレット。
 館を束ねるだけの力を持つ、レミリアは吸血鬼である。
 考え方にもよるが、幻想郷において最も悪魔に近い存在であるには違いない。
 幻想郷の鬼ほどの力をもち天狗ほどの速度を誇り、恐ろしい事に魔法使い以上の魔力を有している。
 どれほどの魔力かと言えばパチュリーの使い魔は小悪魔であるが、本物の悪魔を一気に数十呼び出すことが可能だと言われている。
 アリスとしては絶対に戦いたくない相手だ。
 そして、レミリアに幽閉されているフランドールもまた同じような存在であろう。
 パチュリーは目を閉じて額に皺を作り、こめかみを押さえて考えている。
 アリスの何気ない質問だが、一言で答えられるような簡単な質問では無かったようだ。
 しばらくしてパチュリーが言葉にしながら考えをまとめ始めた。
「レミィは純粋な攻撃力で言えば上かも知れないわ、場数も多い。フランは場数が劣るし、ほとんどまじめに戦ったことはないわ」
 パチュリーはまるで魔法の詠唱のように小声早口でどんどんと考察を続けていく。
 アリスはあっけにとられながら、言葉を聞き漏らさないように必死にその声に耳を澄ませた。
「でも、フランには物を何でも壊す能力があるわ。それに、場数は少ないけれど手加減なんて皆無よ、弾幕ごっこに理性なんてないわ」
「つまりフランドールの方が強い?」
 アリスの問いかけにパチュリーはしばらく考え、首を横に振った。
「わからないわ。個人的にはレミィに勝って欲しいわね」
「あら。私が勝つに決まっているじゃない」
 どこからとも無く声が割り込んだ。
 突然の事に周囲を見回すアリスだが、声を主を見つけて体をこわばらせる。
 見た目10歳程度の幼い少女がコウモリの様な羽をはばたかせて、降り立つとあろう事かアリスの隣の椅子を引いて腰掛けた。
 幼い見た目のくせに、やたら美しい。
 整った顔立ちもそうだが、病的に白い肌に挑戦的な真っ赤な瞳がやけに際立って見えた。
 強い相手とあまり戦いを好まないアリスにとって、できれば関わりたくない人物であるレミリアとの接触に警戒心を大きくさせていく。
「そんなに警戒しなくても取って食べたりはしないわよ」
「アリスなりに緊張しているのよ」
 パチュリーがフォローのつもりか皮肉を言いたかったからなのか、そんな事を言われアリスは魔力の一切を解いた。
 吸血鬼が魔力を持っているのは確かだが、少し警戒して人形に魔力を送った程度で感づかれるとはおもってもいなかった。
 アリスは諦めて、素直にレミリアに問いかける。
「こんな時間に吸血鬼が出るとは思わなかったわ」
「当然ね。この時間は暑くて寝てられないのよ」
 レミリアが手でぱたぱたと顔を仰ぎながら言った。
 その姿はどうしても幼く見え、恐ろしい吸血鬼とは思えないが、捕食者としては至極当然な姿のような気がした。
「それで、二人で私の悪口でも言っていたのかしら?」
 目を細めてレミリアはアリスを見た。
 アリスは慌てて否定する。
「違うわ。悪口じゃないわよ。どちらが強いか話していただけよ」
「どちらが?」
 レミリアは知ってか知らずか、ふざけて自分とアリスを指さした。
 何のことか一瞬分からなかったアリスは、意味が分かるとものすごい勢いで首を振って否定する。
 おもしろがったパチュリーがさらに加勢する。
「私はアリスだと思うわ」
「パチュリー!」
「冗談よ」
 そう言って珍しく笑うパチュリーに、アリスは意外だと思いながら大きなため息をついた。
「思ったより面白いわね、アリスも」
 レミリアが楽しそうにそういうと、飽きたのか会話を元に戻した。
「フランと私だったわね。なら考えるまでもなく私が勝つに決まっているわ」
「やっぱりそうなのね」
 胸を張るレミリアだが、次の瞬間表情を大きく崩した。
 大きな破壊音とともに何かが図書館に飛び込んで来る。
 魔力から察して三人はしまったと言う顔をした。
「話しは聞いたわよ、お姉様」
「フランがどうしてここに?」
「お姉様と遊びたいっていったら、妖精メイドが出してくれたわ」
 フランドールは陽気にそんな事を言った。
 レミリア同様可憐な容姿だが、それには似つかないいびつな羽が生えている。
 アリスは直感的に魔力ならフランドールの方が上かも知れないと考えていた。
「お姉様には悪いけど、私の方が強いに決まっているわ。ねぇパチュリー」
 突然話しを振られたパチュリーは硬直した後、諦めたように答えた。
「フランの方が強いと思うわ。レミィが勝つと思うけど」
 適当にそう言って回答を曖昧にした。
 次に視線を向けられたアリスは動揺するも、何とか言葉を絞り出した。
「絶対にフランドールとは戦いたくないわ」
 二人の回答に満足したのか、フランドールはご機嫌だった。
 一方機嫌を損ねた、レミリアは流れにまかせて椅子を倒すと、フランドールと対峙した。
「言うわね、フラン。ならここで決着をつけてもいいわ」
 レミリアの発言に、思わずアリスとパチュリーは目をあわせた。
 こんなところで弾幕ごっこをされたらたまらない。
 人形をたぐり寄せ、流れ玉を防ぐ為の魔法を組み直すアリス。
 パチュリーもすぐさま本棚の結界を強化した。
「遊んでくれるのね」
 吸血鬼二人が上空でにらみ合う。
 今日は紅魔館にやって来た時から嫌な予感がしていた。
 レミリアに遭遇するだけでもまれだというのに、フランドールにまで遭遇してしまった。
 今日は大凶だと、思いながらアリスは人形をリリース。
 人形がアリスの周りに弾幕用の結界を構築した。
「姉に勝てると思ってるのかしら」
「あら、お姉様。そんな根拠のないことで勝てるとでも思って?」
 上空はさらにヒートアップしていく。
 もはや変えることもできない、アリスは大きくうなだれた。
 パチュリーの視線も痛い。
 ついに頭上で戦いが始まった。
 ものすごい魔力と純粋な力がぶつかる中、アリスはただただ戦いが収まるのを待っていた。
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