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【C81サンプル】「アリス、少女、魔法使い」-はじまり-

2011.12.27UP「アリス、少女、魔法使い」(はじまり)
かわふじ


はじまり』

 朝。
 時は年の瀬、まもなく新年を迎える頃。
 冬の朝の寒さで目を覚ましたアリス・マーガトロイドは、身震いしながら家のドアをしめ、外に出た。短い透き通るような白金の髪にできた寝癖をしきりになでつけながら周囲を見渡した。
 いつもじめじめしていて生暖かい風は吹く魔法の森だが、この時期だけはその怪しさを納め冬色に甘んじている。昨夜降ったのか、所々雪が地面を隠し、枯れることを知らない魔法の森の木々の葉を白く覆っていた。
 アリスは小さく白い息を吐くと、人形を先行させて飛び上がった。
 今日は何故か気分が晴れない。昨日、弾幕ごっこで負けたことが原因だろう。
 アリスは気晴らしに空を大きく息を吸い込んで周囲を見渡した。空には雲一つ無くて、どこまでも真っ青な空間が広がっている。眼下を見下ろせば幻想郷が白く、空の青さとのコントラストがとても幻想的だった。
 外の世界から隔離された幻想の郷ですらこんな幻想的な光景があるというのはとても不思議な事だと思う。もしかしたら、こんな光景すらも、もう外の世界には無いのかもしれないと思うと何とも言えない不思議な気持ちになる。
 アリスは無駄な事を考えながら人形を連れて魔法の森をしばらく飛ぶと、目的の家の前に降り立った。
 魔法の森の中の小さな家。こんな森の中に好んで家を建てる者などそう多くはない。変わり者の人間か、魔法使いか。自分は後者で、おそらくこの家の主はどちらでもあるのだろう。
 アリスは、小さなため息をついた。今は寒さをどうにかしたい、晴れない気分はその次だ。
 アリスは、家の戸を二回ノックした。しかし、待てども反応はない。もしかして、寝過ごしているのだろうか。
 弾幕ごっこに負けて茸狩りにつきあう羽目になったまでは仕方ないが、呼びつけた本人が寝坊というのはどういう事だろう。
 少しだけ怒りが沸き上がってくる。
 もしかしたらと思い、ドアに手をかけると簡単に開いた。どうやら鍵はかけないらしかった。こんな森に盗人は居ないからか、それとも寝過ごすのを見越した上で起こしてくれと言う意味か。
 アリスはかまわず人形を連れて上がり込んだ。厚手のカーテンで窓が隠されていて、部屋の中はとても薄暗い。いつ見ても同じように物があふれた部屋の中を静かに移動して、アリスは部屋の真ん中で物置になっているテーブルの椅子を引いて座った。
 ベッドからは安らかな寝息が聞こえてくる。寝坊は良くないが、何故かその寝顔を眺めていると許してしまいたくなってしまう。少し観察していると、怒りはいつのまにかどこかへ消えていた。
 アリスは少しだけ寝顔を眺めた後、人形を動かした。人形はまるで自ら意志を持っているかのような動きで窓の側へ移動すると、カーテンをつかんで一気に反対側へ飛んだ。
 室内に澄んだ太陽の光が差し込む。まぶしさに少しだけ身をよじったあと、霧雨魔理沙は静かに目を開けた。
 自信にあふれた人間の目に光が灯る。アリスはそんな魔理沙の目が嫌いではない。
 魔理沙が起き上がるまで、アリスはテーブルの上の適当にかたつけると、勝手に台所を使ってなにやら用意を始めた。
「おはよう」
 視線をベッドに戻すと、魔理沙はベッドの上で体を起こしてこちらを見ていた。
「おはよう。お邪魔しているわ」
「ずいぶん早いじゃないか?」
 魔理沙は目を強くこすりながら、大きなあくびをした。
 よく見れば長く綺麗な金の髪にはひどく寝癖が付いている。おそらく夜に髪を濯いだ後そのまま乾かさずに寝たのだろう。
「どう見てもただの寝坊よ」
 人形が台所でお湯を沸かす音がした。人形のくせにとても器用だと言われるが、それはそれだけ繊細な魔法を組んであるからである。魔法使い以外にはおそらくそれは分からないだろう。
 それでも、そんな魔法使いが魔法を使ってお湯を沸かしたりしないのは、少し手間をかけたいからだ。妙に人間くさい魔法使い、それがアリスだった。
「どうせ二度寝したんでしょ?」
 ベッドから足を床におろそうともぞもぞしている魔理沙に、アリスは声をかける。
「いやまさか、三度寝だぜ」
「たちが悪いわ」
 魔理沙は寝起きにもかかわらず、にっかっと笑うと今度こそベッドから出て部屋を彷徨った。椅子の代わりになるのも探すが見あたらず、ベッドの脇でサイドテーブル代わりにしていた椅子を引きずって、アリスの向かいに座った。
 しきりに首を回したり、肩を回しながら調子を確認している。ちょうど良く人形が紅茶を運んでくると、受け取ってすぐに口をつけた。
「目が覚めない?」
「いや、それはいつもの事なんだけどな。どうも調子が出ないんだ」
「風邪かしら?」
 魔理沙は寒がりだし、体調管理もあまり得意そうには見えない。急に寒くなってきたし、今朝は雪までつもっていた。人間なら少し油断すれば簡単に風邪を引いてしまうだろう。
「風邪とはちょっと違うんだよな」
 魔理沙が、カップをテーブルにおいて首をかしげた。
 アリスも人形から受け取った紅茶をすすりながら、魔理沙を観察した。顔色は決して悪くは無い。目もしっかり開いていて、熱があってだるそうには見えなかった。
「どう悪いのかしら?」
「何だろうな」
 魔理沙は部屋を見渡して窓の外を眺めると、再び紅茶に口をつけて言った。
「力が出ないって言うのかな。どうも魔力がたまらない感じなんだ」
 アリスは魔理沙を眺めて首をかしげた。
「魔力?」
「そうなんだよな。森の魔力が減っている気がするんだよ。おまえには分からないか?」
「どうなのかしら」
 アリスは目を細めた。
 目視で魔力が分かるほど魔理沙の魔力は大きく無い。魔法使いを名乗ってこそいるが、魔理沙は生粋の人間である。
 人間は自ら魔力を持つことはほとんど無い。魔理沙にしても魔力の特に強い魔法の森に住む事によって、体内に自然界の魔力を取り込み、そのわずかな魔力で空を飛んだり魔法を発動させるキーにしていたりするのだろう、とアリスは分析していた。
 それが、魔力を蓄えられないと言うことはどういう事だろう。体調不良でうまく体が魔力を取り込まない可能性や、そもそも自然界の魔力自体が減ってしまっている可能性もある。
 前者の可能性はかなり高いが、もしも後者ならば考えにくいが、大変な事態だ。
「原因は分かっているのかしら?」
 魔理沙の顔を覗き込むようにしながらアリスが問いかける。
「体調不良ならいいんだがな」
「なるほどね……」
 つまり、体調には異常が見られないと言うことだろう。魔理沙は自然界の魔力の異常を疑っている事になる。
 自然界の魔力を利用することはあれど、アリスには全く変化が分からなかった。言ってしまえば、そんな些細な魔力の変化で魔理沙が異常を訴えるなど、これまで魔法使いとして幻想郷でやってこれた事の方が異常のようにも思われた。
「異変かもしれないぜ?」
「そんなわけ無いわ」
 アリスはため息混じりに言った。
「魔力が減ることはそう珍しい事じゃないわ。冬になって魔法の森の力が弱くなる、で十分説明ができるわ」
 今朝見た上空からの森の光景を思い出して、アリスは言った。森は一面すっかり雪に覆われてしまっている。雪のせいで魔力の拡散が少なくなった可能性もあるし、寒さで木々の活動が抑えられたために魔力が減っているとも考えられる。
「なら、毎年この時期はそうなるはずだろう」
「今年が初めてなの?」
「そうなんだよな」
 見れば魔理沙は椅子の上であぐらを組んで、腕組みまでして考え込んでいた。
 今年だけ特別に雪が積もった分けでも、今年が異常な気象で合ったこともない。昨日まで正常だった魔力が突然弱くなったのだとすると、アリスにも明確な回答など分からなかった。
「それでも異変では無いと思うけど……」
 アリスは小さな声で言っていた。
 魔理沙が何でも異変にしたがるのは今に始まった事ではない。異変を解決する事を力のステータスの一つと見なしている様で、霊夢以上に異変を探しては解決したがっているのだ。
「そうでもないと、逆に説明しにくいだろう」
 それは違うと思うわ、アリスはそう思ったが言葉にはしなかった。確かに、原因が分からなければ異変の可能性もあるだろう。しかし、異変の発生率から考えると決して高い可能性ではない。
「異変だとしたらどうするのかしら?」
「解決するだけだろう」
 やる気になってしまった、魔理沙は椅子から立ち上がるといそいそと服を着替え始めた。
「これから?」
「当たり前だろう。異変なんだから早いに越したことはないぜ?」
 楽しそうにそういうと、魔理沙は部屋の荷物をひっくり返して準備を始めた。
 アリスはもうなすすべ無しと諦めて、魔理沙の準備が終わるまでぬるくなった紅茶に口をつけていた。

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