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【東方SS】治せ

2011.09.17UP
「治せ」(魔理沙 アリス)
 (博麗神社例大祭SP2 無配本より)

 「風邪」→「ひくかな?」→「治せ」

かわふじ


治せ

 暑い、重い。
 アリスは奇妙な圧迫感を感じて目を覚ました。
 窓を見ればすっかり日が落ちて真っ暗になっている。
 昼間でもないのに、これほど暑苦しいのは異常だろう。
 おまけに何か体の上に乗っかっているようだった。
 状況を確認しようと、首を捻ったアリスは思わず息を止めた。
「っ!」
 目の前に顔があった。
 何が起こったのか分からず、とっさに顔をベッドの逆側に向けた。
 壁を睨みながら記憶を整理する。
 確か、三日ほど研究を続け疲れ果てて眠りについたはずだ。
 一瞬人形かと思ったけれど、あんな大きなサイズの人形がいたおぼえがない。
 一体何がこったのだろう。
 意を決して寝返りをうって、アリスは恐る恐る確認した。
 確認してまたしても息が止まる。
「……まりさ?」
 どう見ても魔理沙だった。
 夢かと思って頬をつねってみるけど、痛い。
 本物かと疑い試しに魔理沙の頬をつついてみる。
 思った以上に柔らかい感触に驚いて、アリスはすぐに指を引っ込めた。
「なぜこんな事になっているのかしら」
 ずっと眠っていたのだから、どんなに考えても分かるはずがない。
 ならば本人に聞くまでだ。
「ちょっと、どうしてここにいるのよ」
 アリスは隣の魔理沙を揺すり起こそうと揺するが寝苦しそうにするだけで、一向に魔理沙が目を覚ます気配がなかった。
「まいったわね」
 困ったアリスはそのまま魔理沙を観察する事にした。
 どうやら自分の体の上に乗っているのは魔理沙の腕と足だと言うことがわかった。
 片手で抱きつかれるような格好で眠っていたことになる。
 確かに重いし暑くて寝苦しいのは当然だ。
 そして、今更ながら魔理沙の息づかいに気がついた。
 寝苦しい夢でも見ているのかもしれないくらい、息遣いが荒い。
 まさかと思ってアリスは、手を魔理沙の額に当てた。
 異常に体温が高くて、熱のせいかひどく汗をかいていた。
「そういう事ね」
 アリスは、魔理沙を起こさないようにそっとベッドから抜け出してキッチンに立った。
 人形にやらせてもよかったけれど、無駄に音を立てたくないと思ったアリスは、自分でタオルを水に浸して固く絞る。
 ベッドの端っこで寝ている魔理沙を何とか中央に転がすと、アリスは持ってきた濡れタオルの額の上に載せた。
 予備の布団を魔理沙にかける。
 ベッドを占領されたアリスは、人形の調整をしながら魔理沙の看病をする事にした。
 人形の服を新しく作ったり可動部分の調整修理をしながら、時々魔理沙のタオルを交換する。
 どれだけ時間が経ったのか、気がつけば窓からうっすら光が部屋の中に差し込んでいた。
 アリスは朝焼けを横目で見てから魔理沙の容態を確認した。
 おでこの温度は大分落ち着いてきたようだ。
 アリスが魔理沙に触れていると、不意に魔理沙が目を開けた。
「あれ?」
 驚いたように周囲を見渡すと、アリスの手を振り払って体を起こした。
「どういう事だ?」
「私が聞きたいくらいよ」
「何で私はここにいるんだ?確か自宅で寝てた気がしたんだが」
「熱で家を間違えたんでしょ?しっかり私の隣で寝てたわよ」
 魔理沙は驚いたように目を見開くと、髪をかきむしって困ったように言った。
「驚きだな」
「私のセリフよ。朝起きて隣に顔があったら絶対に驚くわ」
「おいおい、何もしなかっただろうな?」
 魔理沙が布団をつかんでくるまった。
「何もしないわけ無いでしょ」
「おい!」
 驚きに魔理沙が声を上げる。
 アリスは面白そうに魔理沙の反応を見てから、小さくため息をついて言った。
「看病したわ。おかげて少しくらい楽になったでしょ」
 魔理沙はハッとして両手で頬を挟んだ。
 熱っぽい感じはもうしない。
 体のだるさももうほとんど残っていなかった。
「あ、なるほど。悪いことしたな」
「悪いわよ。魔女に看病される人間なんて初めて聞いたわ」
「ほんとに助かったぜ」
 魔理沙はそういうともぞもぞとベッドから移動して靴を履いた。
「どうするつもり?」
「帰るぜ。これ以上お邪魔するわけにはいかないからな」
「看病してあげるから、もう一晩くらいねてなさいよ。どうせ帰ってもまたどこかへ行くんでしょ」
「まあ、そんな事もあるかもしれないな」
 魔理沙は風邪を移そうと朝からあちこち動き回っていた事を思い出して苦笑した。
 アリスがベッドの脇に寄り、魔理沙にまだ寝ているように促した。
 少し考えていた魔理沙は諦めたのか、ベッドに戻ると顔だけ残して布団をかぶった。
「どうせ霊夢とパチュリーの所でしょ。風邪がうつったらどうするのよ」
「魔法使いは風邪なんか引くはず無いんだろ?それに霊夢は看病してくれるのが居るだろう」
「八雲紫?」
「そうだな。場合によっては鬼がするかもしれないし、間違って私が看病するかもしれないな」
 確かに魔理沙ならやるだろう、とアリスは思った。
 悪戯のようなことはよくするが、そのくせ迷惑をかけるととても責任を感じてしまうタイプなんだろう。
「あなたの場合はどうなかしら」
「私か?」
 魔理沙は天井に視線を彷徨わせてから言った。
「私自身でするしかないだろうな」
「できなかったじゃない。魔法使いに看病までさせて。だからあんまり無理をしない方がいいわ」
 魔理沙は困ったような、少し不機嫌なような表情でアリスを見ると、呟くように言った。
「だから、魔法使いになれって言うんだろう?」
「違うわ」
 アリスは魔理沙に近寄って指を突き出した。
 白く細い指先が魔理沙の頬をつっつく。
「たまには頼りなさい」
 驚いた顔をした魔理沙と目が合った。
 何か言おうと口をぱくつかせるが、結局言葉が発せられることは無かった。
「寝る」
 アリスの指が離れると同時にそっぽを向いた魔理沙はそれだけ言うと、すぐに寝息を立て始めた。
 本当に寝ているのか、狸寝入りなのかは分からない。
 それでもアリスは満足してテーブルに戻ると、魔理沙を見つめた。
 布団にくるまって胎児のように膝を曲げて眠っている。
 あれが年相応なのか、寂しがり屋なのか、よく分からない。
 アリスは人形に魔理沙が目覚めたときのための粥を用意するように指示すると、テーブルに頬杖をついてベッドを見つめて大きなため息をついた。
「一体何を考えているのかしらね」
 アリスは何度か呟いたが、結局魔理沙が目覚めるまで答えは分からなかった。
 
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