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「夕立」【恋まり3サンプル】

2011.6.35UP
「夕立」【恋まり3サンプル】
6月26日開催の「恋の魔法は魔理沙におまかせ!3」にて頒布予定です。

かわふじ


「夕立」

 アリスが椅子から立ち上がるのを見て、魔理沙も立ち上がった。
「どこへ行くの?」
「おまえを送って行くに決まっているだろう」
 おそらくついでにどこかに出かけるのだろう。
 出かけがついでなのか、見送りがついでなのかは分からない。
 それでも悪い気はしないのでアリスは断ることなく魔理沙の支度を待った。
 帽子をかぶりベッドの脇に立てかけてあったホウキを取って来るのを、人形を操りながら眺める。
 戸を開けて外に出ると、日が傾いていると言うのに蒸し暑い空気が待っていた。
「まだ暑いな」
「真っ黒だからね。もっと他の色の服を着てみたら?」
「魔女は黒を着るものだからな」
「私もパチュリーも着てないわ。そして、魔界でも黒を常時着ている者は少ないけれど」
「それでもいいんだよ」
 魔理沙の魔法使いらしさと言うところだろうか。
 きっと、それだけではなく黒は魔理沙の趣味のようなものだと思っている。
 他の者の趣味に文句を言っても仕方がないが、魔理沙の魔法使いへの執着がどうしても気になることはあるのだ。
 魔理沙は人間だ。
 おそらくこれから先もずっと人間の魔法使いで有り続けるだろう。
 人間と魔法使い、性質の異なる種族にまたがって生き続けるのが魔理沙の願いでありプライドなんだろうと思う。
 魔法の森を低空飛行しながら、アリスの家を目指す。
 どこまでも眼下の景色は替わらない。
 この森に迷い込んだら抜け出せないのは当たり前のことだ、とこの光景を見るといつも思わせる。
 頭上には真っ黒の雲の固まりが浮かんでいた。
「ひと雨きそうだな」
「そうね。雷雲だとしたら嫌ね」
「雷がなったら空を飛ぶのは嫌だからな」
「へそを取られるから?」
 おまえは子供か、と魔理沙に言われてアリスは可笑しくなった。
 魔理沙も子供ではないが、それでも幻想郷の中では子供もこどもだ。
 見渡せば幼い吸血鬼だって五百年は生きているし、古強者になればすでに数えるのを止めた者も居る。
 人間の寿命など、たかがしれている。
 そういう意味の嫌みを、魔理沙は軽く流した。
 と、ほほに冷たい物が当たりアリスは空を見上げた。
 相変わらず黒い雲が大きな陰を落としているが、同時に水しずくを垂らし始めていた。
「ふってきたぜ」
 最初に言葉にしたのは魔理沙だった。
 見れば黒い帽子に転々とシミが広がっている。
 二人は慌てて高度を落とすと、眼下にある大きな森へと降り立った。
 たくさん葉の茂った大きな木の下で足を止めた。
「すぐに止むかしら?」
 人形を確認しながらアリスが言った。
 人形が雨をすえば重くなって動きが変わってしまうことがある。
 それほど濡れた形跡は無いので今のところ大きな調整はいらないだろうとつぶやいた。
「どうだろうな。通り雨っていうよりは雷雲だぜ」
 魔理沙が空を見えあげてつぶやくのを見計らったかのようなタイミングで、大粒の雨が猛烈な勢いで降り始めた。
 ザアザア葉や地面に打ちつける雨音を聞きながら、魔理沙が困ったように帽子を取った。
「傘をもってくるんだったぜ」
「飛んでたらさせないでしょ」
 それはそうだ。
 空を飛べば風を真っ向から受けるため、傘を普通に差したら傘が壊れてしまう。
 だからといって風上に傘を向ければ、正面の視界を失うことになる。
 雨が足下の地面をぬらし始めた。
 うかつに腰を下ろすこともできない。
 二人は幹に背中を預けて空尾仰いだ。
 まだ十分明るい時間だが、雲の所為で日暮れ間近のように薄暗くなってしまった。
「おまえ魔法で雨を避けたりできないのか?」
「難しい話ね。弾幕を打ち消すのと雨をはねのけるのは少し違うわ」
 アリスが小さな声で言った。
「どう違うんだ。どちらも物理障壁ってことには変わらないと思うんだが」
「それは正しいわね。弾幕の場合、向かってくるのが言ってしまえばエネルギーの固まりよ。それなら、ピンポイントで逆相違の力をぶつければ相殺できるわ」
「まあそうだわな」
「雨の場合、ピンポイントに飛んでくる弾幕とは違って前面に雨と逆の力を展開し続けないといけないでしょ。しかも雨が降っていると言うことは、自然の魔力は水有性だから」
 時間ならたっぷりあるとばかりに、アリスが魔法の解説を始めた。
 アリスやパチュリーの使う属性魔法の話だろう。
「なら火の魔法でも使えばいいだろう」
「火の弱点は水よ。優勢を取るなら土の魔法を使うべきだわ」
 自然界が力関係でいいバランスを保っているように、魔法もそれぞれの属性のバランスで成り立っている。
 おそらく五行の発想だろう。
 アリスは西洋魔法使いのくせに幻想郷で主流の東方魔法の考え方を重んじている。
 幻想郷でたたかうのだから当たり前の事だろうと思うが、それでも東洋魔法を主に使っているパチュリーへの対抗策なのかもしれない。
「結局、難しいって話なんだな」
「そういうこと。できるけど疲れるのよ」
「なら私なら濡れて帰るな」
「そんな事をするから風邪を引くのよ。人間のくせに自然に逆らうからよ」
「逆らっている訳じゃないだろう。相殺しようとしてないんだ、風には吹かれるし雨にはしっかり降られているんだからな」
 と、大きな閃光と一瞬遅れた轟音が森中に響き渡った。
 魔理沙の言った雷雲は本当だったようで頭上で雷が鳴り始めた。
「雷には当たるのかしら」
「それにはしっかり抗わせてもらうぜ」
「雷のならばピンポイントだから魔法でも避けやすいわ」
「いや。せっかくだからここは私が元を絶ってみせるぜ」
 不意に魔理沙が帽子をかぶり直してホウキにまたがったかと思うと空に向かって急上昇した。
 何事かとアリスは魔理沙の姿を目と人形で追った。
 そのままどこまでも上昇し、雲と交差する手前で魔理沙が急ブレーキをかける。
 一瞬反応が遅れた人形が魔理沙よりも雲に接近した。
 空が発光し雷が落ちる。
 よく見れば、急ブレーキをかけた魔理沙の前に出た人形に見事雷が命中したようだ。
 金の魔法が雷を相殺。
 次の瞬間、再び空が光ったと思うと見覚えのある魔力の固まりが雲に突き刺さっていた。
「むちゃくちゃでしょ」
「いやいや。これですっきりだぜ」
 ずぶ濡れで空から降りてきた魔理沙は妙にご機嫌だ。
 空を見れば、マスタースパークがなぎ払った部分の雲が吹き飛んで無くなっている。
「強引すぎるわ」
「おまえの魔法じゃ防げないなら、私の魔法で元を絶ってみせるぜ」
 雲の割れ目から夕日が差し込み、左右に見事な虹を作った。
 魔理沙が濡れたスカートを絞る様子を横目に見ながら、
「何故か負けた気がするわ」
 アリスが小さくつぶやいた。
 今度は天気を制御する魔法を考えよう。
 ご機嫌の魔理沙が先をせかすのを聞きながら、アリスはそう心に誓った。
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