幾何学ドッグ・迷犬ウッホ・迷創Cat

同人サークル 幾何学ドッグ・迷創CAT・迷犬ウッホの共同ブログ

Category: スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Category: 東方SS

Comment (0)  Trackback (0)

お菓子の日1

「お菓子の日」(魔理沙 パチュリー)

2011.04.16UP 

かわふじ





 まるで日課。
 魔理沙はいつものように紅魔館を訪れていた。
 門番も慣れたもので、陽気に魔理沙の姿を見ると挨拶をしてよこした。
 これは門番としてどうなんだ、と侵入者は呟く。
 魔理沙は門番に挨拶を仕返して図書館に踏み込んだ。
 ここもいつも通りだ。
 暖かいとも寒いともない空気。
 魔理沙は住人に小声で挨拶する。
 声が本に吸収され遠くに響くことはない。
 返事がないので声が届いたかどうか分からないが、魔理沙は気にもとめずに本の物色を始めた。
 パチュリーの本は相変わらず多い。
 外来の本にパチュリーが書いたであろう本、どこから持ってきたのか雰囲気の違う魔法書などが混ざってはいる。
「魔理沙?」
 と、不意にパチュリーの声。
 珍しいこともあるものだ。
「お?」
 パチュリーから呼びかけられる事なんてほとんど無いだけに少し愕き、それが誘いの言葉だということに気がつくのに少し時間がかかった。
 声に導かれてパチュリーの机の向かいに腰掛けると、どこからともなくメイドがカートを押して現れた。
 相変わらず神出鬼没のメイドだ。
 図書館に通い始めた頃はひどく邪魔をされたものだが、今となってはあきらめて邪魔だけはしないようにと目が合う度に言われる程度だ。
 手慣れた様子で机の上に紅茶を用意した。
「めずらしいな」
「いえ、はじめてですよ」
 メイドが冷静に答えながら魔理沙の前にお菓子を並べて、素敵なウインクを残してどこかに消えた。
 香りのいい、焼きたてらしいクッキーの香ばしい香りが図書館に漂った。
 種族魔法使いは基本的には食事をしないし睡眠もしない。
 例に漏れず、パチュリーのその姿を見たことはない。
 当たり前のことだが、ここでお茶をするなんてことはあり得なかった。
「なにかあったのか?」
「なにが?」
 本から視線を上げずに、ティーカップに角砂糖を放り込むパチュリー。
 魔理沙はメイドの入れた紅茶をすすりながらパチュリーの顔色をうかがった。
「珍しいこともあるもんだな」
「人間のくせにね。宗教観は無いのかしら」
「宗教観?八百万の神だろう」
「そうね。どこを見ても神様がうろついているものね」
 パチュリーが本を置いて、ティーカップを持つ。
 口と付けて少しだけ紅茶を口に含んだ。
「宗派だってな、神社は二つしかないだろう」
「あかとみどりね」
「極端だがな」
「……でも、バレンタインくらい伝わっているはずよ」
「ああ、去年も妖怪の山で流行ってたな。私はいまいちなじみがないがな」
「元々外のの不思議な文化だけどね」
 パチュリーが正した。
 妖怪の山で流行ったのはおそらく早苗が原因だろう。
「そういえば、おまえも外からか」
「さあね」
 パチュリーがカップを置いて本を開いて視線を落とした。
 詮索するなということか。
 確かに魔理沙としても聞かれれば答えにくい。
 まるで他に興味がないように本を読み続けるパチュリーを、クッキーをつまみながら見つめる。
 クッキーに紅茶の葉が混ざっているようで妙に手の込んだクッキーだ。
 もちろんパチュリーが手をつけることはない。
 幼いが綺麗な顔立ちでどう見ても人間と代わり映えしない魔法使い。
 なんだかもったいないなと思う。
「食べたくなったりはしないのか?」
「昔はそんな事も考えたことがあったけど」
「そんなものか」
「そんなものよ」
 目を伏せて紅茶を熱そうにすすりながらパチュリーが早口で言った。
 これ以上聞かない方がお互いのためだな。
「私はそろそろおいたまするぜ」
 ホウキをつかんでパチュリーに背中を向ける。
「これはお持ちになってくださいな」
「おう?」
 いきなり脇から手を伸ばされる。
 手にはかわいらしい包み、咲夜か。
 相変わらずどこから現れるかわからない。
 さすがにパチュリーが残ったお菓子を食べたりはしないか。
「いただいていくぜ」
「ちゃんと返すのよ」
 パチュリーの声が背中から聞こえる。
 テーブルの上の本を数冊かかえる魔理沙。
「死んだらちゃんと返すぜ」
「……」
 いつもの台詞。
 パチュリーの反論はない。
 脇の咲夜がなぜだか笑っていて気味が悪かった。

 魔理沙が紅魔館から去ると咲夜が言った。
「誤解されてましたね」
「いいのよ」
「せっかく手作りなのに残念では?」
 意地悪そうにメイドが言う。
「材料を指示しただけだから」
 咲夜がクスリと笑って消えた。
 図書館が静かになる。
 パチュリーは深いため息をついて本に視線を落とした。

スポンサーサイト

Comments






Information
メロンブックス


■新刊・既刊委託中!!
about

th_banner0.gif かわふじ
th_banner0.gif 黒田
kawahujiをフォローしましょう かわふじtwitter
kawahujiをフォローしましょう 黒田twitter
■他、非常勤メンバー数名で活動中!
幾何学ドッグ ※2013/12/23. 幾何学ドッグ,迷犬ウッホ,迷創Catのブログを統合しました
mail form
works
chain-jake900.jpg ■片霧烈火*子猫奪回屋 東方アレンジ
CDのジャケットを描かせて頂きました!
Ruby Knot
■弓凛合同誌参加させて頂きました!
suten_babar_3.gif
■カードイラストを描かせて頂きました!
****
other

1234567891011121314151617181920212223242526272829303108 2017
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。