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「残暑見舞い(番外)」

2010.09.20UP

「残暑見舞い(番外)」(魔理沙 香霖 アリス)

かわふじ


 アリスの言うとおり、雨と嵐が去ってしまうとすっかり涼しくなっていた。
 確かに昼間は暑いかもしれないが、夜になれば涼しくなる。
 暦をみればとっくに秋だった。
 相変わらず最近の季節感はおかしいとしかいえないな。
 郷の入り口、言ってしまえば外れにある香霖堂。
 久しぶりにその扉を開いた。
「おじゃまするぜ、ってうお」
 扉を開いて思わず後ずさってしまった。
 店内から流れてくる異様な冷気がほおに触れたからである。
 なんだか冥界を歩いている時を思い出した。
 幽霊とすれ違うたびに背筋からくる寒気がするんだ。
「おいおいおいおい、どうなってんだこりゃ」
 店内に向かって叫ぶと、カウンターの位置から香霖の声がした。
「いらっしゃい、久しぶりだね」
「ああ、久しぶりなのはいいんだか幽霊でも住み着いてるのかここは」
 おそるおそる店内に踏み込んた。
 これは真冬のような寒さだ。
 外がまだ心地よく暑いだけにその差がすさまじい。
 汗が一気にひき、あまりの温度変化に頭痛になりそうになる。
「エアコンが壊れちゃってね」
「はあ?」
 コートを着込んでマフラーまで首に巻き付けていた香霖が壁の高い位置に固定された白く四角いエアコンを指さした。
 たしか、これは温度を一定に保つ機能があるはずだが。
「温度設定ができなくなったのか」
「みたいだね、参っちゃってるよ。今年は春冬冬冬」
「んな馬鹿な。壊れたんじゃ元を絶つしかないだろう」
 エアコンをのぞき込んでみると白い弾力のあるケーブルが壁に突き刺さっている。
こいつを引っこ抜けば確か止めることができるはずだ。
 コードを両手でつかんだところで香霖に止められた。
「だめだ魔理沙」
「なんで?」
「いあ、いろいろやっかいなんだよ。それ外の世界につながってるんだ」
「紫か」
「そういうこと。絶ってしまうのは簡単だが、元に戻すのにどれだけ骨が折れることか……」
 以前八雲紫にお願いしたときに法外な見返りを要求されたということだろう。
 紫のことだから要求はありえるし、相手が香霖だから飲むのもわかる。
 だからそれを避けるべく冬ごもりの格好までして我慢しているということか。
 ミニ八卦炉を改造してもらおうとしてきたんだけど、それどころではないようだ。
「直せないのか?」
「僕にそんな能力があるわけないだろう」
「魔改造は得意なくせにな」
「最悪の響きだ」
「だろうな。妖怪の山から河童でも呼んできてやろうか」
「それは助かる。河童がくるのが先か、医者が来るのが先か」
 香霖はそこで盛大なくしゃみをした。
「この寒さじゃ風邪だってひくだろう」
「せめて窓でも開けるかな」
 香霖が立ち上がるのを手でやめさせて、代わりに店中の窓を開け放った。
「これで少しはましになるとおもうけど、泥棒には要注意だな」
「それに関しては大丈夫さ」
 香霖がそういってちらっと私をみたような気がする。
「おいおいおい、私はここから何もとったことはないぜ」
「霊夢にはよく持って行かれるんだけどね」
「そいつは災難だな」
 そこで香霖が手をたたいた。
「どうした?」
「思い出したんだ。霊夢に渡してほしいものがあってね」
「直接呼べばいいだろう」
「八雲紫の耳にはいれたくないんだ」
「その辺で聞いてそうだけどな」
 仕方なく香霖から包みを受け取る。
 やけに軽くて柔らかい。
「頼まれてた巫女服さ。この間弾幕ごっこしたら破ったんだって」
「なるほどな」
 それなら軽くても納得だ。
 私の服も霊夢の服も作っているのは他ならぬ香霖だ。
 私の場合ちょっとした手直しはアリスに頼んでしまうんだが、霊夢は律儀にも香霖に直接修繕の依頼をしているようだ。
「その服と河童の件たのむよ」
「わかったんだぜ。河童は遅くなるかもしれないが呼びつけてやるぜ」
「風邪をひく前にたのむよ」
 香霖の凍えそうな声を背中に聞きながら香霖堂を後にした。
 預かった包みを抱えて自宅まで歩いて帰りながら悪魔のささやきを聞いていた。
 包みの中をのぞくといつも霊夢のデザインと同じ巫女服がきれいにたたまれて収まっていた。
 これはやらざるおえないだろう。
 ダッシュで家に駆け込むと窓にカーテンをぴっちりと閉めて包みを乱暴に開け放った。
「どんなもんかな」
 黒い魔女らしいワンピースを脱いで椅子に引っかけるとためらいなくブラウスまで脱ぎ捨てる。
 きっちりと折り目のついた巫女服の袖に腕を通して思わずため息をついた。
「わかってはいたんだがな」
 ガラクタの中に埋もれていた鏡を引きずり出してじっくり見てみる。
 悪くは無いデザインだが、私の髪の色に白黒はやっぱり似合わないな。
 紅いスカートをつまんで持ち上げてみる。
 指を離すとスカートの裾が地面にくっついた。
「霊夢よりも背が低いのな」
 うすうすわかっていたが、体感してみるとなおさら悲しくなってくる。
 明日は朝一で牛乳でもかってくるか。
 大きなため息をついて着替え直そうとしたとき。
「お邪魔するわ」
 声とともに戸が叩かれ、間髪入れずに戸が開いた。
「あああああああ」
「この間の雨でおいていったホウキいつになったら取りに来るのかと思って、え」
 アリスが硬直した。
 私はそれ以前から硬直している。
 目線があったまま外すタイミングを探るが、きっかけなどあるわけもなくしばしアリスと見つめ合ってしまった。
 最高にまずい。
 できれば「ちょっと試着でもしてたんだぜ」の第一声にしたかったがもうそれもかなわない。
「何の事故?」
 アリスが耐えかねてつぶやいた。
「……悪魔に魅入られてな」
 どこがどうおもしろかったのか、アリスが口元を押さえて必死に笑いをこらえている。
 いろんな意味のまずさで冷や汗をかいていたが、冷や汗が蒸発するんじゃないかってくらい顔が熱い。
 これは恥ずかしいというやつだ。
「そんなに笑うことはないだろ」
「どう考えてもここは笑うところよ。それ着てどうするつもりだったの?」
「好奇心だ」
 霊夢の服にしわがつくのにもかまわず、一気に服を脱いで自分の服に着替える。
 アリスが足下の霊夢の服を拾い上げては折り目通りにきれいにたたんでいた。
 そんなフォローをされたところで恥ずかしすぎるだろう。
「おしゃれは良いことだとおもうわ。魔理沙はいつも真っ黒だからね」
 いつの間にかアリスの笑い声が止んでいた。
 振り返ってアリスの表情を確認したい気持ちもあるが、なんと声をかけたらいいのか分からない。
 それでも、
「魔理沙」
 アリスの声色に思わず振り返った。
 まじめというか真剣な声だったから、何か大事なことを言うのかもしれない。
 私の顔は恥ずかしさから何を言われるかの警戒でひどい顔をしているに違いない。
 アリスが上着に手をかけながら静かに口を開いた。
「私の服もきてみた――」
 台詞が終わるより早く私の頭は覚醒していた。
 テーブルで冷風を送っていた八卦炉をひっつかむと、すかさず呪文を詠唱する。
 八卦炉から溢れる光りの奔流にアリスの台詞はかき消えた。
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