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「残暑見舞い3 (アリスの場合)」

2010.09.20UP

「残暑見舞い3 (アリスの場合)」(魔理沙 アリス)

かわふじ


「調子が狂うな」
「何の話よ」
 向かいのテーブルに座ってティーカップを傾けたアリスが表情を硬くした。
 テーブルの上にはいつものようにお菓子が置かれている。
 アリスが空のカップをテーブルにおくと人形がすかさず紅茶をそそいだ。
「パチュリーが本をくれたんだがな」
「それは良かったわね。仲良しのパチュリーから本をもらえて」
「おいおいおいおい、気になる言い方だな」
「さあね」
 目をつむったままお代わりした紅茶をアリスがすすった。
「でもおまえはおまえらしくていいとおもうよ」
「何の話よ」
 アリスから視線をずらしてその脇を見ると、人形が2体。
 小さなからだでうちわでぱたぱたとアリスに風を送っている。
 来客である私の元にも人形が一体居て、うちわで生ぬるい風をおくっていた。
「暑いだろう。皆どうやって過ごしているのかと思ってな」
「それでパチュリーのとこまでいってきて、仲良しだから本をもらってきたのね」
「その前には霊夢の所にもいってきたさ」
「霊夢からは何をもらってきたの」
「……冷たい視線、だろうな」
「正しいわね」
 やっと表情を崩したか。
 私がアリスの家にやってきた時にはそこまででもなかったのだが、何故ここまでアリスが機嫌を崩すのか謎だ。
「それにしてもおまえは力業だよな」
「どの辺が?」
 アリスの魔法は繊細だ。
 魔法の糸なんていう物を操ってそれでさらに人形を操ろうなんていう魔法である。
 魔法の糸がどんな物なのかよくわからないので、パチュリーの魔法よりも何がどうなっているのか分からない魔法だ。
 だから魔法使いらしくない魔法もでてくるんだとおもう。
「ほら、魔法使いって言ったらパチュリーもそうだが、魔法を使って空気を冷やしたりするんじゃないかっておもってな。その分おまえは魔法を使ってうちわを動かすっていう力業だろう」
「それは挑戦かしら」
 何となく分かってきたぞ。
 アリスの地雷はパチュリーということだろう。
 しかし、アリスとパチュリーは魔法使い同士そこまで仲が悪いという話は聞いていない。
 むしろ二人と仲が悪いのは私の方だと思うんだ。
「いあいあ。魔女にも色々居るんだなっておもってな」
「それはそうでしょ。考え方は似ているだろうけど、結局の所魔法使いなんてみんな違っているのよ」
「パチュリーと同じこと言うな」
「魔女だものね」
 アリスがあきらめたように笑った。
「私も魔法を使ってこの暑さを何とかしたいんだが、どうにもな」
「魔理沙の魔法はどちらかと言えば攻撃魔法中心だからね。他の魔法を攻撃に応用しているならともかく、攻撃目的で作られた魔法の応用は大変よ」
「だよな」
 相変わらずアリスだ。
 どんな疑問でもちゃんとした返答が帰ってくる。
 パチュリーはなんだかんだで嫌みなんだよな。
 きっとあれだ、アリスにも昔言われたことがあるが、人間の魔法使いはどうやら本当の魔法使いから好かれないらしい。
「とにかく魔法を使って涼しくすごしたいのね」
「何かアイディアはないか」
「コールドインフェルノは?」
「あれは氷を飛ばすだけだからな」
「その氷を集めてそれに風でも当ててみるとか?」
「お?」
 氷に風を当てたらどうなる。
 氷の周りの冷たい風がながれてくるし、氷の表面では水分が凝固して室内の湿気も少し下がるかもしれない。
「それ部屋の中が水浸しにならないか?」
「正解」
 思わず頭を抱えるとアリスが笑った。
 紅茶はもういいらしく空のカップがテーブルに置かれている。
 アリスと人形は当たり前のことだが会話をして意思疎通をするわけではないので人形とアリスの行動が読みにくい。
 それが戦闘時にはかなり有利にはなるが、一緒にいるときにはアリスの考えをミスリードすることも多くて困ってしまうことが多かった。
「ほかに方法はないってことか」
「水浸しになったら火属性の魔法でも使って部屋を乾かせばいいわ」
「全く涼しくならないな」
「もっともね」
 思わず大きなため息をついた。
 暑さを紛らわす魔法は一筋縄にはいかないようだ。
 そう考えると外の世界のエアコンとかいうシステムはすさまじい魔術の結晶だろう。
 直接魔法を使うのがだめなら別のアプローチをとるまでだ。
 考え込んでいる私をきょとんとした目で見つめているアリスをじっと見据えた。
「その人形みたいなのは難しいのか?」
 アリスが一瞬困ったような顔をして振り返ると、私が指を指した先に人形がいる。
 それを認めるとアリスの表情は険しくなった。
「何をいまさら」
「ほら。パチュリーの魔法は何となくイメージできるんだよ。属性魔法なんて術式がしっかりしていればある程度なら使えるだろう。私には無理だがな」
「なんで?」
「魔法なんていちいち詠唱してられるか。ぱっと構えて撃てないとおもしろくないだろう」
「それについては同感ね」
 アリスの魔法はそんなに単純には見えないがアリスにとってはそうなのだろう。
 言ってしまえば常日頃から魔法を使っているのだから、いざというときも魔法をどう使うかから考える必要はないのかもしれない。 
「パチュリーには小悪魔がいるし、アリスには人形たちがいるだろう。私も何かほしいとおもってな」
「ついでにうちわでも持たせたいのね」
「そういうこった」
 アリスがうーんと考えている。
「魔法の糸はかなり難しいものだと思うわ」
「いまいち原理がわからん」
「私から出た糸の先を人形につけて固定する。糸っていうよりは針金?長さの変わる鉄の棒だとおもってもいいわ」
「なるほど。真上からつってる訳じゃないんだもんな」
「そうよ。糸の長さを変えれば固定されている人形が動くわ。何点か経由して真上からつる糸もあるけどね」
 そういうと、アリスはうちわを構えていた人形をいったいつかんで机の上に置いた。
「この人形は今何本の糸でたっていると思う?」
 人形がたっている、ということが操られてたたされているということだとまず理解するのに時間がかかった。
 たっているんだから操っている訳じゃないだろうと言いかけて身の程を知る。
「一本あればつれるんじゃないか?」
「ほんとかな」
 アリスが指を振ると、人形が首をつった。
そう見えた。
 支えが一点しかないからあとはぷらぷらで首つり人形にしか見えない。
「なるほど……」
「奥が深いのよ。これが正解で一四本」
 アリスが言うと、人形は直立不動の姿勢をとった。
 ただそれだけなのだが、人形に命が吹き込まれるような不思議な感じだ。
 これはただ糸をくっつけただけじゃない。
 おそらくアリスが人形を生き物にすべく仕込んだスキルによるものだろう。
「思った以上に複雑なのな」
「そうでしょ。最初の頃は自分でもいやになりそうだったわ」
「でも何で?」
「趣味ってことで」
「ふーん」
 触れてはいけないところか。
 私で言う道具屋霧雨店といったところか。
 何を言われても適当にはぐらかしてやる自信がある。
 アリスにとって人形がそうなのは少し予想外といえば予想外だ。
「続けましょうか、お辞儀をさせてみて」
 アリスが言うと、本来見えることのない魔法の糸が白く着色される。
 アリスの言うとおり本当に一四本の糸でつり上げられていた。
 それも正しい表現では無いかもしれない。
 空間に固定されていた。
「それは簡単だろう、腰の部分の糸をそのままにして背中の糸を前進させればいいだろう」
「本当かしら」
 アリスがそれを実行する。
「?」
「無理なようね」
 人形はぴくりとも動かない。
「どういうことだ」
「これはね背中を押してもそのほかの糸が連動していないからよ。背中と一緒にお辞儀をしたら頭も動くし肩も腕も位置が変わるでしょ」
 アリスがそんなことを言いながら人形をみると、きれいなお辞儀をしていた。
「そんなことを考えながらいったいどうやって弾幕ごっこなんかやるんだよ」
「企業秘密」
 ため息をついた。
 この技を手に入れて使い魔と涼しい夏を自分のものにしようと思ったのだけ
 ど、これでは半生を費やしたところでそれが実現できるかはわからない感じだ。
「まいったな。少しだけ尊敬するぜ」
「あら珍しいこともあるのね」
 アリスはなんだかそういいながらとてもうれしそうに笑って、自ら私のカップに紅茶を注いだ。
 今日のアリスはご機嫌のようだ。
「ちょっとその本貸してもらえる?」
 テーブルの上に投げ出していたパチュリーの本をアリスが指さした。
 残念なことにパチュリー解釈のエアコン魔法書は魔理沙には解読することもできなかった。
 アリスが手にとって本を眺める。
「何かわかるか?」
「何にも。他の魔女の本を読んでわかるのは理解できない世界があるってことくらいよ」
「すごく共感するぜ」
 思わずうんうんとうなずいてしまった。
 アリスにもそんなことを感じることがあるんだなと、少し安心してしまった。
「こんなものに頼ろうとするのは間違いよ」
「なら干からびろっていうつもりか?」
「魔女は結局のところ自然をどれだけ知って味方につけれることができるかが勝負よ」
「うまくまとめるじゃないか」
「そうね。昔の魔法使いは大地主だったのよ。自分の庭に精霊を住ませて環境を整えてヒエラルキーを構成して、そこで生まれた魔法をバランスよく使っていたのよ」
「そいつはえらいめんどくさいんだな。でもそいつは滅んでしまったんだろう」
「それはどうかしら。土の中に潜って研究でもしているかもしれないわよ」
「それはおそろしいな」
 アリスはそこまで言うと納得したようにテーブルを立ち上がった。
 今日はこれでお開きだという合図だ。
「ひどい雨ね」
「あ?」
 アリスが窓をのぞき込んでいた。
 かまわず同じ窓をのぞき込む。
「これはひどい」
 外は大雨だった。
 霊夢のところを出たときには快晴だったはずだ。
 いや、正確には快晴ではない。
 思い出してみれば、遠くに雷雲が見えていた。
「これは霊夢の雨乞いのせいだな」
「そんなことできるの」
「できないと信じたいがな」
 アリスが隣で苦笑いをしている。
「でもこれが来たってことはこれからはずっと涼しくなるわ」
「本当かね」
「私が言うんだから間違いないでしょ」
「それはそうかもしれないな」
 人形がいつの間にか持ってきた外の世界の傘を受け取った。
「また涼しくなった頃にくるぜ」
「それは今晩かしら」
「お望みならな」
 戸を開けると雨独特の土のにおいが広がっていた。
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