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同人サークル 幾何学ドッグ・迷創CAT・迷犬ウッホの共同ブログ

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「東方銃説話 下」

2010.09.20UP

『東方銃説話 下』 プロジェクト名:Nitriplus
 ※銃などかわふじ解釈はこちら

かわふじ


 窓から差し込んだ光に、空気がきらりと輝いた。
 それが月明かりで輝いたのが粉雪ならばどれほど幻想的だろう。
 廃墟の一角。
 埃にまみれた建物のロビーに二人は避難していた。
「ほれ」
 魔理沙が霊夢に差し出したのは霊夢のポシェットだった。
「どうしてこれを?」
「街の入りぐちのところに落ちてたぜ」
 霊夢は首をかしげる。
 確かベルトの部分をたすき掛けしていたはずなので、それが途中道に落ちるということはあり得ないのだ。
 ベルトを触って確かめてみると切断された後も無い。
「惚けてないでこれからどうするんだ?」
「そうね。最短距離でここから離脱するとすれば」
「そうだな。でもそれは大変そうだな」
 魔理沙が他人事のように言った。
 そのくせ怪しくつり上がった目はぎらぎらと輝いている。
 霊夢は濁った空気を大きく吸い込んで、これでもかという位大きなため息をついた。
 ポシェットの中身を確認する。
 黒光りするオートマチック拳銃――シグザウエルP226が顔をのぞかせる。
 他に詰めていた接近武器の針や予備の弾薬にも異常はない。
「おかしな点があるんだがな、どうして妖精に狙われてるんだ?」
「狙われている?いつもみたいに手当たり次第じゃないの?」
「それが妙なんだ。さっき何体もすれ違ったんだが私には見向きもしなかったぞ。おかげで鴨撃ちだったがな」
「全部倒しながら来たんだ?」
 魔理沙が楽しそうに笑った。
 確かにおかしな点だ。
 この世界に出現した妖精は常に、見境無く誰彼構わずにおそっていた。
 それが人間でもそうでなくてもだ。
 それが集団で一人の人間を襲うというのは聞いたことがない話だ。
「何か恨みを買うようなことでもしたのか」
「魔理沙と同じでその辺の心当たりは多すぎるのよ」
「だろうな」
 魔理沙が立ち上がり、銃の劇鉄を親指で起こした。
「ちゃっちゃと移動しちまおうぜ」
「そうね。こんなところに缶詰なんてたまらないわ」
 霊夢も魔理沙に習って初段を装填した。
「どうする、最短距離だとこのまま北上。大通りをどこまでも走っていけばいい」
「敵に背中を見せるみたいでいやね。東へ逃れるコースは?」
「そいつは小道が多いが、敵の数がおおいんだろう。鉢合わせもめんどくさいぜ」
「そうよね。なら、大通りを平行して走る裏道ね。道幅はそれでも十分広いわ」
「オーケイ」
 魔理沙が先に動いた。
 性格上、先頭に立って戦った方が魔理沙は有利だ。
 ビジネスホテルだった廃ビルのロビーから廊下を突き進み、金輪際使われることが無いであろう従業員用のドアノブを捻った。
 無反応。
 すかさず魔理沙は鍵穴めがけて発砲。
 357マグナムが鍵穴とロック機構を吹き飛ばし、蹴ってドアを開けた。
 ドアから飛び出して周辺を警戒、。
 題がないと確認すると霊夢を裏通りに進入させた。
「おまえが何かしたのはわかってるんだが、それにしても敵さん数が多すぎだろう」
「さっき4体片づけたからせいぜいあと六体かしら」
「何いってんだ。私がここに来るまでに十体以上は倒したぜ」
 どこからとも無く出現する妖精なのだから、何体出現してもおかしくはない。
 が、ここまで密集して出現する例はあまり聞いたことが無い。
 壁に背中を預けながら考えても不可解なことばかりだ。
「とにかく脱出してから考えるか」
「そうね」
 薄暗い裏通りに二人の足音が響いていた。
 いつ襲撃されてもおかしくはないので、建物の角や隙間があるたびに二人でクリアリングを行い、実際にはゆっくり歩く程度の速度で前進しているにすぎない。
 今までの遭遇が嘘のように妖精が出現しないため、妙な緊張感があった。
 順調に進行。
 二人は1番地の真ん中あたりまで、一体の敵にも会わずに前進していた。
「全然追いかけてこないな」
「妖精だものね、あまり執着は無いんじゃないかしら」
「罠だったりしてな」
「だったらすごいわね」
 ピピピピピピッ。
 大音量の電子音が静かだった路地裏に流れた。
 霊夢は思わず飛び退き銃を構え、魔理沙はしまったという様子でポケットを叩く。
「何事?」
「着信だ、って切れた」
「マナーモードにしておきなさいよ」
「こんなところででマナーも何もないだろう」
 思わず敵襲かと思った霊夢は心臓が止まるかと思ったとつぶやきながらそれでも銃を正面で構えて周囲を警戒した。
 大丈夫だと、踏み出しそうになった魔理沙の目の前に妖精が飛び出した。
 トリガーを引くよりも早く低軌道の蹴りを放つ。
 ほとんど反射で繰り出した蹴りは、重さが希薄な妖精を軽々と吹き飛ばした。
 妖精が姿勢を正すよりも魔理沙の銃が吠えるよりも早く、霊夢の銃が妖精に風穴を開けている。
 そんな霊夢を振り返ったついでに、魔理沙は背後から接近する2体に銃弾をお見舞いした。
「完全に見つかった感じね」
「罠か?」
「誰かさんの携帯のせいよ」
 魔理沙が携帯を開けて何かを確認するとすぐにポケットにねじ込んだ。
「急ぐぞ」
「そうね、日が傾いてきたら最悪だもんね」
 魔理沙を先頭に霊夢が背後を守る。
 最初の襲撃の次の角でも同様に妖精が飛び込んでくる。
 不意打ちでは無かったので冷静に対処したが、その次さらにその次でも同じ状況が続いた。
「三十超えたぜ」
「九十三年のソマリアを思い出すわね」
「私に言うな」
 無駄口を叩きながらも、通路に壁のように出現した敵を瞬く間に霊夢が三体まとめて撃破する。
「三十三」
「きりがない」
 もうクリアリングするのはやめていた。
 障害物の陰にはほぼ確実に敵が潜んでいるし、足を止めれば囲まれる恐れがあるからだ。
 曲がり角や障害物がくるたびにトリガーに力を込める。
「おまえは良いが先に息切れするのは私だぞ」
「だからオートマチックにしなさいって言ってるじゃない」
 銃を振りトップブレイク、銃を振って空薬莢を排出。
 通常この手段だと熱で膨張した薬莢がシリンダーに張り付いて素直に落ちないことが多かったが、そこはニトリに解決してもらっている。
 従来の薬莢ではなくアルミ合金を用いた薬莢を採用しているために比熱効率が向上、まれに割れが出ることもあるがそれでもくっつくよりは遙かにマシだ。
 クイックローダーで新たな銃弾を装填、銃身を振り上げて装填完了。
「強行突破を提案する」
「何とも言えないわ。このままじゃじり貧になるのは見えているけどね」
「突っ込むしかないだろう」
 魔理沙が十字路で立ち止まり左右の敵を潰すと、右折、大通りに向かって移動した。
 敵の状況が分からない以上得策とは思えないが、霊夢はだまって魔理沙の背中を追いかける。
 警戒して通りに出た魔理沙がにやりと笑った。
 大通りには誰も居なかった。
 あれだけ裏通りに敵がひしめいていたにもかかわらずだ。
「大正解だな」
「逆に不気味ね」
 通りに目をこらすが、敵どころか障害物の一つも見えない。
 確かあの辺りには廃車が道の端にあったはずだが。
 そこまで気がついて、霊夢が魔理沙の首根っこをつかんで力の限り放り投げた。
 霊夢の握力で放り投げるのは無理だが、魔理沙は振り回された反動でつまずいて転ぶように廃車の裏に転がった。
「おい!」
 魔理沙の台詞に構わず霊夢は正面、何もない空間にありったけの銃弾をたたき込んだ。
 装弾数十九発のマガジンはすぐに空になるがすぐさま再装填。
 目の前の視界が揺らいだ。
 その光景に魔理沙も目をむいた。
 空間が歪んだと思った次の瞬間大通りにはすさまじい数の妖精がひしめいている。
 手に手に銃器をもってひたすらにこちらを見ている。
 魔理沙はぞっとした。
 あんな数の妖精ははじめて見たし、そもそもあんな数の敵を相手にしたことはない。
 見えなかったのは妖精の中に、光りをいたずら程度で操る事のできる能力を持った者が混ざっていたからだろう。
 静寂は一瞬。
 おびただしい数の妖精が一斉に射撃を開始した。
 道路中央の霊夢に遮蔽物はない。
 魔理沙は何か叫んだがおびただしい銃声にかき消されてその声が霊夢に届くことはない。
 霊夢は魔理沙の道の反対側の落下したらしいビルの看板に向かって猛ダッシュするが、その間にも嵐のような銃弾が降り注ぐ。
 銃弾がスカートを裂き、長い髪を大口径らしい銃弾が食いちぎってゆく。
 看板の陰に滑り込んだ霊夢には腕や頬に至近弾による傷はいくつもあったが致命に至る弾丸は一発も無かった。
 あれは天性の感だ。
 銃弾を回避するなんて技は何人たりともできるものでは無い。
 もしも自分があの場に取り残されていたらと思うと、魔理沙はぞっとする。
 すさまじい銃撃に看板がドラムロールのような音を立てるがお構いなしで、霊夢は当たりも付けずに銃を連射していた。
 霊夢なりの無事だと言うことのアピールだろうと、魔理沙も負けじと応戦する。
 ろくに狙いを定めなくても全弾命中するほど敵の密度は濃い。
 魔理沙がごそごそとスカートの中から怪しげな物体を取り出した。
「そんなものがあるなら最初から使いなさいよ」
 霊夢の叫び声が聞こえる。
「今しかないだろう」
 叫び返しながら魔理沙、まるでジャガイモ潰し器のようなそれの木製のグリップ部分の先についたキャップを外して紐を伸ばし、自分の腕に絡めた。
 敵の距離は二十メートル強、腕力に自信はないが力の限り投擲する。
 紐が外れM24手榴弾が着弾、敵最前列の少し手前だが、爆発半径五メートル弱あるので前列の戦力は十分に削ることができるだろう。
 投擲からおよそ四秒で炸裂、敵前列が半円を描くように消滅した。
「もっと鍛えときなさいよ」
「ほっとけ」
 突出した両端に銃弾を浴びせると敵の群れは少し後退したように見える。
「リロード、これ最後だからね」
 霊夢のリロードを片目で見ながら魔理沙も残弾数を数えるが霊夢と同じくらいだろう、ラスト三ローダー。
 霊夢は早々にばらまくようにして銃撃を終了、何を思ったのか銃まで敵に投げつけてポシェットの針攻撃に専念している。
 あれはコンシールド性がすさまじいが、射程距離が銃に匹敵するはずもない。
 突出して射程に入った敵を片っ端から狙い撃っている。
 魔理沙も近づいてくる敵を中心に銃撃。
 弾切れ、リロード。
 弾切れ、リロード。
 たまらず隠していたサイドアームのチーフスペシャルを発砲するが装弾数五発で一瞬で空になってしまう。
「どーすんだよ!」
「背中見せて逃げる?」
「鴨撃ちすぎんだろ」
ピピピピピピッ
「魔理沙電話よ」
「んな穏やかな情況かよ」
 叫びながら撃ち尽くしたチーフスペシャルを力任せに投げつけると一体の妖精に命中した。
 きりがない。
 敵がまだ道路を埋め尽くしている。
 もしかしたら倒してもすぐに復活している可能性もある。
「弾切れだ」
「どうしようもないわね」
 魔理沙が廃車に背中を預けてあぐらを組んだ。
 ここで死ぬのか。
 妖精ならともかく人間は銃弾で死ぬ。
 おそらく霊夢も人間だからそうだ。
 それでも霊夢一人ならばあの天性の感でうまく生き残るかもしれない。
 これはもうダメか。
 魔理沙がそう思ったとき視界に妙なモノが写った。
 広い道路の真ん中を盛大に土埃を巻き上げながら突っ込んでくる一台の車。
 慌てて銃を構えるもその中に弾など入っていない。
 ハンビー――黄土色で平たい大型のジープが微かに右に蛇行したかと思うと後輪をサイドブレーキでロック、そのまま後輪を滑らせながら霊夢と魔理沙の隠れている廃車のちょうど真ん中で後部を敵に向ける形で停止した。
「携帯くらい出なさいよ!」
 ハンビーの助手席のドアが開いてアリスの文句が車内に響く。
「最高のタイミングだな」
 魔理沙が助手席に転がり込むのと霊夢が後部座席に転がり込むのは同時だった。
 バスンという嫌な音がして後輪タイヤが被弾、はじけ飛んだ。
 車体を叩く銃声はまるで豪雨を車で飛ばして居るみたいだな、と魔理沙は場違いなことを考えていたが、すさまじい銃撃音がしてその視線を上げる。
 屋根に据え付けられた銃座M2重機関銃で霊夢がこれでもかと応戦している。
「出せ」
「いわれなくてもそうするわよ」
 アリスが強引にアクセルを踏みつけるとハンビーは狂ったように加速する。
 パンクした後輪から嫌な振動が車内に伝わるがそんなものはお構いなしだ。
 直進すするが再びターン。
「おいおいおいおい」
「突っ込んで!」
 魔理沙の叫び声も空しく霊夢の鋭い声にアリスが反応した。
 ハンビーは急加速して敵に向かって突っ込んでいく。
 思わずダッシュボードに隠れたくなるが、その上に置かれていたマイクロウージー をひっつかむと窓の外に向けて撃ちまくった。
 車外の銃声、車体に当たる銃弾、うなりを上げるエンジン音。
 すべては一瞬。
 敵の集団に突入したかと思うとそれは背後。
 霊夢が体をひねって銃口を向けるまもなくハンビーが角を曲がり、それっきり妖精の姿をみることは無くなった。
「あんな弾幕は初めてだわ」
 ハンドルを握るアリスがバックミラーを見ながら言った。
 霊夢にかけた言葉だろう。
「全部私をねらっていたわ。魔理沙ならともかくね」
「それはどういう意味だよ」
 アリスが他人事のように運転席で笑う。
「とにかく異常な事態には変わりないわ」
「……異変?」
 アリスが呟くように言った。
 久しく聞いていなかった言葉だ。
「かもしれないわね」
 それっきり、車内は銃弾の雨が嘘だったかのように終始無言だった。
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